プロポリスの栄養学

医学博士宮川 富三雄 荏原総合研修所,
元ハーバード大学客員教授

プロポリスは、蜂の巣箱に住んでいる何万匹と云う蜂の健康を支えている物質で、人間に対しても感染症・成人病等の慢性の病気の回復、老化の予防等その効果は多岐にわたっている。
このような効果は、プロポリスのもつ「細胞の賦活作用」によるものと考えられる。

日本疫学会の発表では、癌細胞の増殖抑制作用のあることも報告されている。
現在、市販されているプロポリスは、においがする程度の安価なものから、非常に優れた商品まで様々であるが、実際に貴重品とも云えるプロポリスの採集、衛生管理、品質管理、検疫後のエタノール抽出まで長い期間工程を考えれば本物が安価であろう筈がない。

ブラジル農務省が唯一国際用として認可した「プロポリス325」の分析結果を元に、脂肪酸分析を行い臨床栄養学観点からプロポリスの重要性について紹介する。
「プロポリス325」には10%前後の脂肪が含まれているが、その中でも生体に於いて種々な効果が期待されている必須脂肪酸などの脂肪酸組成をみると、含有量の高い順からオレイン酸(28.7%)、パルチミン酸(27.2%)、リノール酸(9.0%)、リノレン酸(5.2%)、ステアリン酸(4.0%)、ラウリン酸(3.3%)である。他にもミスチリン酸、ベヘン酸、アラキジン酸等も含まれているが、その酸度は2.0%以下である。

このような脂肪酸の中で生体内で合成できない、いわゆる必須脂肪酸であるリノール酸が含まれていることは注目に値する。
この脂肪酸は近年臨床薬理学的にも機能性栄養学的にも脚光を浴びているエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の原料であり、この物質が生体内で欠乏することにより、心臓障害、脳血管障害、皮膚障害など種々な身体症状が現れるようになる。

プロポリスの種々な症状改善効果の発現の一因として必須脂肪酸の働きも考えられる。又、プロポリスはカンジタ・アルビカンスや、ブドウ球菌に対する抗菌作用のあることも確認されており、体力の低下の激しい老人や小児、消耗性疾患の患者などでは栄養補給と同時に感染予防としての働きが期待できる。

「プロポリス325」を見る限り、結果として蜂がもたらす自然界の恩恵と捉え、様々な難病にチャレンジして行くのも良いのではないか。

(1995年松下電器産業発刊「ラリス」寄稿)

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